日本には年間16回(2021年の場合)の国民の祝日が制定されています。しかし、祝日がなにに由来するものなのか、いまいちわからない人も多いのではないでしょうか。このシリーズでは、そんな方々に向けて、その月にある祝日について解説いたします。

今回は4月編です。4月はゴールデンウィークの始まりとなる「昭和の日」が制定されています。昭和の日とゴールデンウィークの歴史を学んでみましょう。

『昭和の日』4月29日

 「昭和の日」は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日として2007年に制定されました。昭和の日と呼ばれるようになってからはまだ十数年しかたっていませんが、4月29日はそれ以前から国民の祝日でした。最初に祝日となったのは昭和2年(1927年)のことで「天長節」と呼ばれていました。天長節は、今でいうところの「天皇誕生日」です。つまり、「昭和の日」の起源は昭和天皇の誕生日ということです。昭和の時代の天長節は1947年まで続き、翌年からは憲法改正の影響を受け「天皇誕生日」と呼ばれるようになります。その後、昭和天皇が1989年1月に崩御され、本来であれば祝日から外れるはずでしたが、すでにゴールデンウィークの一部として国民の生活や興行に深く根付いていたことなどから、「みどりの日」と呼称を変えて存続することになります。みどりの日と呼ばれるようになったのは、昭和天皇が博識で、特に自然・植物に対して通暁していらっしゃったことにちなんでいます。その後、2004年に呼称の改正法案が可決され、2007年から4月29日を「昭和の日」に改称し、それまで「国民の休日」であった5月4日を「みどりの日」とすることにしました。

4月29日の呼称変遷

「昭和の日」は時代に合わせて名前を変えながら、90年以上にわたって、日本の祝日として国民の生活に浸透しています。

※みどりの日については「5月編」をご覧ください。

ゴールデンウィーク

 4月末から5月上旬にかけて、祝日がまとまることから、長期の連休となります。俗に言う「ゴールデンウィーク」です。ゴールデンウィークの期間には「昭和の日」「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」と4つの祝日があり、土日の休日やメーデー(5月1日)による休日などと重なることで長期間の休日となります。

 もともとは1948年に祝日法が施行され、4月29日「天皇誕生日(当時)」、5月3日「憲法記念日」、5月5日「こどもの日」の3つの祝日で構成されていました。当時は土曜日が平日であったこともあり、必ずしも連休にはならず、平日と祝休日を繰り返すようなカレンダーだったことから「飛び石連休」などと呼ばれることが一般的でした。

飛び石連休の例

ゴールデンウィークという呼び方は映画会社による宣伝用語として1952年ごろから使われ始めたことがきっかけです。これは、当時の映画会社「大映」が上映した獅子文六原作の『自由学校』が5月公開で、正月やお盆の上映映画を超えて過去最高の興行成績をあげたことに由来しており、ラジオの聴取率が高い時間帯をゴールデンアワーと呼んだことに倣ったといわれています。こう言った経緯から、NHKをはじめとする一部メディアでは「大型連休」「春の大型連休」などと表現されています。

 飛び石連休を連休化してほしいという国民の声は当初から多く、これにこたえる形で祝日法を改正。1986年から5月4日が「国民の休日」となりました。当時の法律は祝日と祝日に挟まれた平日を休日とするもので、記念日としての意味はありませんでした。

国民の休日オセロのイメージ

1986年の5月4日は日曜日、翌年1987年の5月4日は月曜日で憲法記念日の振替休日だったため、実際に「国民の休日」として休日となったのは1988年のことです。これ以降は4月29日から5月5日まで(振替休日がある場合には6日まで)の大型連休となり、国民が旅行へ行ったり、イベントに出かけたりする一大興行期間として定着しています。

まとめ

 今回は4月の祝日である「昭和の日」と、それに関連する「ゴールデンウィーク」について解説しました。他の祝日と比べると少し変わった経緯で定着した「昭和の日」の歴史は面白いですね。ゴールデンウィークはしっかり羽を伸ばしつつ、五月病にかからないようにきをつけましょう。