日本には年間16回(2021年の場合)の国民の祝日が制定されています。しかし、祝日がなにに由来するものなのか、いまいちわからない人も多いのではないでしょうか。このシリーズでは、そんな方々に向けて、その月にある祝日について解説いたします。

今回は9月編です。9月には『敬老の日』『秋分の日』が制定されています。早速見てみましょう。

『敬老の日』9月第3月曜日

「敬老の日」は「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを目的として、1966年に制定されました。祝日になった当時は9月15日が敬老の日でした。

敬老の日の由来は諸説ありますが、代表的説は2つあります。一つ目は、聖徳太子が「悲田院」(ひでんいん)という現在の老人ホームのような施設を設立した史実に基づくものです。その日が9月15日だったことから敬老の日を9月15日にしたと言われています。二つ目は、1974年に兵庫県多可郡野間谷村(現在の多可町)の村長が「老人を大切にし、お年寄りの知恵を借りて村づくりをしよう」と提唱し、農作業が一段落する9月15日を「としよりの日」としたことです。これが次第に全国に広がり、1966年9月15日に国民の祝日として「敬老の日」が制定されたと言われています。どちらも起源は異なりますが、高齢者を大切にする気持ちは同じです。

9月15日に設定された敬老の日ですが、現在は9月の第3月曜日に移動しています。その理由は祝日を月曜日に移動させるハッピーマンデー制度が適用されたからです。2003年からは9月の第3月曜日になり、秋の三連休を形成することとなりました。しかし、敬老の日が移動することにより、歴史ある敬老の日を変えたくないという反対の声も多くあがりました。そこで、祝日ではないものの老人福祉法により2002年から9月15日を「老人の日」として残すことになったのです。また、9月15日から9月21日までを「老人週間」と定めています。老人の日の趣旨は、「老人が自らの生活の向上に努める意欲を促す」というもので、敬老の日と違い、おとしより自身が主体的に活動する日となっています。

9月のこの時期は秋分の日次第では大型連休ができる年があります。その連休がゴールデンウィークと似ているため、対になるようシルバーウィークと呼ばれるようになりました。シルバーが老年世代を示す意味もあることから敬老の日を含む連休という意味もあるそうです。

『秋分の日』9月23日

「秋分の日」は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日として制定されました。

秋分の日には決まった日付が無く、「昼と夜の長さが同じ日」が天文計算で求められ、その年によって変動します。毎年2月に翌年の日付が決まり、おおよそ9月21日~23日の間です。これは春分の日同様です。詳しくは3月の春分ので解説しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

季節の変わり目である秋分がなぜ祝日になっているのでしょうか。それは、1908年から歴代の天皇・皇后、皇族の方々を祀る「秋季皇霊祭」を行う祭日であったことに由来しているからです。その後、1948年に国民の祝日として「秋分の日」と名前を変えて制定されました。春分の日も同じ理由で、「春季皇霊祭」が行われており、「春分の日」として制定されています。皇霊祭とは現在の天皇・皇后が出席され、歴代の天皇・皇后・皇親の霊を祭る儀式で、宮中祭祀のひとつです。今でも日本各地の神社や神宮で遙拝式が行われています。

秋分の日の前後3日間は秋のお彼岸でもあります。お供え物として、春はぼた餅、秋はおはぎが有名です。それぞれ季節の花にちなんだもので、牡丹と萩からきています。小豆が秋に収穫されることから、おはぎは小豆が収穫したてなのでつぶあん、牡丹餅は収穫した小豆の皮が少し硬くなっているので、こしあんで作られるそうです。

この風習は江戸時代ころから始まったと言われており、当時貴重だった砂糖をあんこにたくさん使った贅沢品でした。そうした高価なものを特別な日や大切な人にふるまうことで、感謝のを示すものとして定着したともいわれています。また古くから赤いものが魔除け、厄除けとされていたことから、赤い小豆もそのような力があるとされ、ご先祖様の供養になると考えられていました。この時期になるとスーパーではおはぎのコーナーができているところもあります。ご先祖様への感謝も忘れず、スーパーごとのおはぎのおいしい食べ比べもいいですね。

まとめ

敬老の日は幼い頃から祖父母に感謝の気持ちとしてプレゼントを渡していた人が多いのではないでしょうか。大人になってだんだん感謝の気持ちを伝えることが少なくなっているので、このような日に何か贈り物をするのがいいですね。