手帳の使い方をご紹介する「実践!手帳術」。今回は勝手帳を使ってバーチカル手帳のような一目でわかるスケジュール管理方法をご紹介します。勝手帳の週間ページはレフト式を採用しています。しかし、書き方を工夫することでバーチカル風に利用することもできます。バーチカル風の記入をするとどんなメリットがあるのでしょうか。

「バーチカル」って何?

 手帳のデザインにはいくつか定番の型があり、「バーチカル」は週間ページの表現方法の一つです。バーチカルという言葉自体は英語の「vertical」で「垂直の」「直立した」※といった意味があります。つまり、縦型に記入できる週間ページのデザインが手帳でいうところの「バーチカル」ということです。

ウィークリーバーチカル
バーチカルの手帳

 バーチカル方式の最も大きな特徴は時間軸がついていることです。縦長の1日の枠が、上から下へと続く時間の帯のように表現されています。これにより、その日のどの時間に何があるのかが一目でわかります。予定の始まりと終わりを矢印で記入すると、すきま時間をみつけやすく、予定の追加がしやすいというメリットもあります。一般的には、見開き2ページ全体を使って1週間を表現するので、書き込めるスケジュールが多く、スケジュール管理に特化したデザインと言えます

バーチカルの欠点

 スケジュール管理にもってこいのバーチカルですが、欠点もあります。ページ全体がスケジュール管理することに特化しているため、メモやTODOリストを併用しにくいところです。例えば、「週間レフト式」の手帳の場合、右ページはまるまるメモページになっていて、左ページにスケジュールの記載、右ページにメモやTODOリストの併記をすることができます。バーチカルだとスケジュールは多く書けるものの、それに対応する「やっておくこと」を記入できないため、物忘れに繋がり、失敗の原因となりがちです。

レフト式の手帳をバーチカル風に利用する

 上記のようなバーチカルタイプの欠点を補う方法としては、「サブ手帳としてメモ重視の手帳を用意する」「レフト式をバーチカル風に利用する」などがあります。私たちのオススメは「レフト式をバーチカル風に利用する」ことです。

勝手帳はレフト式

 レフト式は左に週間ページ、右にメモページがついているため、スケジュールとTODOリストを対応させることができるのが最大の強みです。しかし、バーチカルと比べてスケジュールの記載スペースが少ないことと、普通に記入すると予定を「箇条書き」してしまい、すきま時間を見つけにくいという2つのデメリットがあります。バーチカル式とレフト式にそれぞれメリット・デメリットがありますが、両者の良さを「記入方法の工夫」によって両立させることが可能です。

<【ポイント1】レフト式に時間軸を記入する>

 バーチカルの最大のメリットは毎日の「時間軸」があることです。これによって、スケジュールを時系列で視覚的に管理できます。そこで、レフト式をバーチカル風に使えるように「時間軸」を記入しましょう。1段では書ききれなかったり、枠が狭くなりすぎてしまったりする場合には、2段に分けるとよいでしょう。

<【ポイント2】頻繁にある予定はマークを決める>

 レフト式はスケジュールを記入するスペースが狭いのが難点です。同じサイズの手帳と比べると、バーチカルタイプの半分のスペースしかないので、詳細な情報をすべて書き込むことは不可能です。それを解決するために、頻繁に記載する言葉には「記号」を決めて記載するようにしましょう。例えば、「ミーティング」は「M」、「プレゼン」は「P」、直行直帰は「直」といった具合で頭文字を取ったマークにすると1文字分のスペースで済みます。また、仕事の予定とプライベートの予定を区別するために、プライベートの予定には「★」マークをつけるというルールを作れば、予定をグループ分けすることもできます。こう言ったルールは枠外に記載して、分からなくならないように管理しましょう。

<【ポイント3】詳細な予定が必要な場合はメモページに>

 どうしても詳細な情報を書き込む必要がある場合には、右ページのメモを利用しましょう。狭いスペースに必要以上の情報を書き込むと、視認性が損なわれてバーチカル式の良さを活かせなくなってしまいます。左側のスケジュールページは時間の管理に特化させて、付随する情報は右ページのメモに逃がしましょう。そうすることで、見開き全体で情報を補完することが可能です。特記事項には「※」マークをつけるようにすると、スケジュールを見た際に見落とさなくなります。

<【ポイント4】書き方のフォーマットを決める>

予定の記入方法は統一したフォーマットを決めておくと便利です。例えば、時間軸を表す「→」の左上に予定の内容、右上に時間、下に場所と決めておくことで、そこに書かれた言葉が何を表しているのか理解することができます。「13時から、〇×社で、1時間のミーティング」というスケジュールも、フォーマットを決めることで「M 13:00~ 〇×社」と短く記載することが可能です。また、書き方を統一すると、手帳全体にも一体感がでて見やすくなる効果もあります。

<【ポイント5】色分けをうまく使う>

 これはレフト式の手帳をバーチカル風に使う場合に限らず、手帳を使う際には押さえておきたいことですが、ペンを色分けするとスケジュールが見やすくなります。例えば、社外での予定は青ペン、社内での予定は緑ペン、重要な内容は赤ペンなどといった具合です。こうすることで、視覚的な効果だけでなく、記憶にも残りやすく物忘れ防止の効果も期待できます。

<【ポイント6】市販の手帳カスタマイズツールを使う>

 100円ショップや文具店などでは、手帳をカスタマイズするのに便利な様々なツールが販売されています。これらを効果的に使うと手帳の使い勝手がぐっと上がります。「マスキングテープ」を使うと、重要な情報を目立たせることができます。他にも、変動の可能性がある予定をマスキングテープに記入することで、予定が変わった際にマスキングテープをはがし、新しい予定を記入できます。

重要な予定がある日には、半透明の「強調シール」が便利です。白黒の日付欄をカラーに表現でき、目立たせることができます。また、休日のサイクルが通常のカレンダーと異なる方は、休日の色を決めて「強調シール」を貼ると1週間のスケジュールが見やすくなるでしょう。

市販のシールなどを使うと色分けがしやすい

まとめ

 今回はレフト式の手帳である勝手帳をバーチカル風に使う手帳術をご紹介しました。バーチカルのスケジュール管理法とレフト式のメモが豊富な特徴を合わせることで、スケジュールとTODOリストを同時管理することができるようになりました。手帳は使い方次第で無限の可能性を秘めています。ぜひ、自分なりの使い方を追求してあなただけの手帳術を見つけてみてください。

※参照 南出康世『ジーニアス英和辞典 第5版』(2014) 株式会社大修館書店発行