オーダーメイド手帳ではどんなことができるのか、どういった制限があるのかについて解説する、「手帳作成基礎講座」。今回は中身のデザインについて解説する<デザイン編>です。一般的な手帳のデザインタイプや、オーダーメイドだからこそできるオリジナルページの事例、データ製作の注意点などについてご説明いたします。

※手帳作成基礎講座の過去記事はコチラからご覧いただけます。

月間・週間のレイアウトは使いやすいタイプものを

マンスリー・ウィークリーページのレイアウトは様々なタイプがあるため、どのようなデザインが良いか迷われると思います。それぞれ特徴がありますので解説します。

<月間ブロック式>

マンスリーブロック

ひと月を7日×5週(あるいは6週)のブロックにする最もオーソドックスなマンスリーページの掲載方法です。一般的なカレンダーと同じ記載方法なので、見やすく使いやすいシンプルなタイプです。曜日がそろっているので、何週目の何曜日なのかがわかりやすく、その月の予定を大まかに把握するのには最適です。一方で書き込むスペースが狭くなりがちで、たくさん書き込みたい方には不向きかもしれません。こういった場合には週間ページを併用して、大まかな予定と詳細なスケジュールを書き分けるとスペースを有効活用できます。

<月間ガントチャート式>

 月間ガントチャート式は、日付が横並び1列に並んでおり、プロジェクトの進行スケジュールが管理しやすいマンスリー掲載の方法です。使い方によっては、1日の中で時間ごとに分けた記載や、複数日にまたがった記載がしやすいので、様々な予定が混在する方にオススメです。企業手帳であれば、プロジェクトチームの進捗管理が重要な仕事に向いているでしょう。

マンスリーガントチャート

<週間レフト式>

週間レフト方式

 ウィークリーページの最もポピュラーな記載方法が見開き1週間レフト式です(勝手帳もこの方式を採用しています)。週間レフト式の特徴は手帳を開いたときの左ページが週間ページ、右ページがメモ帳となっていることで、目的や用途、カテゴリによって左右の使い分けができることです。例えば、左の週間カレンダーには会議や打ち合わせなど、日時が関係する予定を記載し、右のメモにはその日のTODOリストを記載するとスケジュールとタスクをうまく管理することができます。

<バーチカル式>

 バーチカル式は1日ごとに時間軸がついている掲載方式です。時間ごとの管理ができるため、1日に多くの予定がある方にオススメです。時間で管理ができるので、その日の予定が時系列に並んでおり、次の予定との関係性が一目瞭然となります。矢印などを利用して予定のスタート時間と終了の時間をわかりやすく工夫すると、すきま時間を見つけやすく、スケジュールの追加がしやすいことも魅力の一つです。スケジュール管理に特化しているレイアウトと言えます。

ウィークリーバーチカル

<1日1ページ式>

1日1ページ

 文字通り、1日に1ページのシンプルな掲載方式です。1日当たりのスペースが他のレイアウトと比べ段違いに広いので、自由な使い方が可能です。スケジュール管理だけでなく、様々なアイデアを書き留めたり、ちょっとした図を書き入れたりすることもできるだけの十分なスペースがあります。どうしてもページ数が多くなり、厚い手帳になりがちですが、スケジュール管理だけでなく、ノートとしての能力も高いことから、様々な場面で活躍します。

<フリースケジュール式>

 カレンダーのマスや、週間ページの枠だけがあり、日付の入っていないレイアウトです。日付が入っていないので、アイデア次第で自由な使い方ができます。例えば、何かの目標に向けた記録手帳として使いたい場合などは、目標の日から逆算したスケジュールを記載することができます。翌年の7月に大きな大会があり、現在が8月、大会に向けた専用の手帳を作りたいと考えたとき、市販手帳のほとんどは1月始まりの1年手帳で、2冊買わなければなりません。このようなときは、フリースケジュールを使うと自分がスタートさせたい月から自由に書き始められるので、無駄がなくなります。

フリースケジュール

<オリジナルスケジュール式>

 オーダーメイドならではのレイアウトとして、始まり月を調整したり、期間を調整したりするオリジナルスケジュール式があります。オリジナルでスケジュール帳を作成することで、決算月から始まるスケジュール帳や、月の途中から始まる手帳も可能です。週間ページも始まりの曜日を変更することで、使いやすいサイクルにできます。


 月間ページや週間ページは人によって使いやすいと感じるレイアウトが大きくことなりますし、その分、こだわる箇所も多くなるでしょう。勝手帳では、月間ブロック式と週間レフト式を採用していてこれを基調デザインとすることも可能です。しかし、せっかくのオーダーメイド手帳ですので、ぜひ使いやすいレイアウトを考えてみてください。

オリジナルページ

オーダーメイド手帳であれば、オリジナルのページを追加することができます。企業の社員手帳を作る場合は、企業理念やクレドなどを記載することが多いですし、会員向けの手帳には規約やルールブックを掲載することがあります。オリジナルページは、その会社やグループの特徴を最も表現できる部分で、ユニークなページに仕上げることで、独自性を追求できます。

 ある企業の面白い例をご紹介します。この企業では就活生向けの手帳を製作し会社説明に参加した学生にノベルティとしてプレゼントしました。スケジュール部分は一般的な月間ページ、週間ページで特別なものではありませんがオリジナルページに工夫を凝らすことで就活生へのアピールを成功させています。この企業のオリジナルページは就活に役立つ10ページほどのワークシートとしました。就活の目標設定や進捗管理ができる表をつけ、活動の振り返りや次にむけた反省などができるようになっています。実はこのワークシートの項目すべてがこの企業の企業理念やクレド、仕事の取り組み方とリンクしていて、就職活動を通じて、就職してからの仕事の仕方をプレ体験できるようになっているのです。一般的な企業ですと、単に企業理念やクレドを箇条書きに羅列するにとどまりますが、ワークシートに組み込むというアイデアによって、他にない素晴らしい手帳に仕上げることに成功しています。

 上記は就活生をターゲットにした一つの事例ですが、工夫を凝らしたオリジナルページを作成することで、手帳の価値を高め、より使い勝手の良い手帳を生み出すことができる良い例だと思います。オーダーメイドにするのですから、様々なアイデアを取り入れることで、唯一無二の手帳とすることは重要です。どんなページを入れると利用者に楽しんでもらえるか、どんな構成にすると使ってもらえるかをイメージしながら様々な工夫をしてみてください。

データ作成からご依頼いただけます

オーダーメイド手帳のデザインは、お客様で作成いただくこともできますし、勝手帳にて作成することも可能です。ここではデザインを勝手帳にて行う場合のご注意事項などをご説明いたします。

 デザインをするためには、サイズやページ数などの仕様が決まっていることが不可欠です。ある程度掲載したい内容が決まったら、その段階でご相談ください。内容と仕様を照らし合わせて、最良な方法をご提案させていただきます。仕様が決まったら、いよいよデザイン作成です。デザインのもととなる原稿はwordやexcel、パワーポイント、PDFなどで構いません。どういった内容をどのように掲載したいのかわかるような形でご提示ください。それをもとに作成したデザインをご確認いただき、修正を重ね、ブラッシュアップしていきます。デザインが完成したら、あとは手帳の完成を待つのみです。

データ入稿をする場合の注意点

デザインはお客様にて作成いただき、入稿していただくことも可能です。データが作成できる環境でしたら、こちらの方が、デザイン制作費がかからないためお安くなりオススメです。データ入稿の場合下記にご注意いただく必要があります。

<データ形式「Adobe Illustrator」による完全データ>

 データの作成はAdobe Illustratorにてお願いしております。バージョンは特に問いませんが、必ずアウトラインをかけるようにしてください。こちらで取り扱っていないフォントをご利用の場合、ファイルを開いた際に文字が再現できず、フォントが変わってしまいます。また、画像をお使いの場合には、必ず、画像の元データも同梱してください。また、フルカラーで画像を埋め込む場合にはカラー設定を「CMYK」に変換の上、データ作成してください。

<ページ番号がわかるように>

 ページ入稿の際には、どのページが何ページ目になるか分かるようにしてください。例えば、ページ順に並んだPDFを別途用意いただいたり、ページごとでファイルを分けてファイル名をページ番号にしていただいたりすることで間違いがなくなります。

<塗り足しと断ち切り>

 データを製作する際には、「断ち切り」にご注意ください。手帳は製本をしてから断裁してサイズをそろえますが、この際に個体差が出てしまい、数ミリずれてしまうことがあります。そのため、データを作成する際には仕上がり位置のギリギリにまでデザインをせずに、仕上がり予定位置よりも5mm内側にデザインするようにしてください。逆に、背景や帯などのデザインを紙の端まで伸ばしたい場合は、仕上がり位置よりも余分に5mm外側までデータを作ってください。こうすることで、断ち切った際に文字が切れるのを防ぐことができます。

<レイヤー効果は極力使用しない>

Adobe Illustratorではレイヤーの「描画モード」を使用することで様々なデザイン効果を作り出せるようになっていますが、一部の効果は印刷に反映されないものがありますので注意してください。特に注意が必要なものは「オーバーレイ」や「透明」などの効果です。こちらはPDFでは反映されていても最終的な印刷では反映されなくなってしまうため、確認段階で気づかれないことが多く、ミスの原因となります。レイヤー効果は使用しないようにしてください。どうしても必要な場合などは別途ご相談ください。

まとめ

 オーダーメイド手帳は1から自由にオリジナリティ満載の手帳を作成することができます。市販の手帳ではどうしても表現できないことや、自分たちにとって重要な項目を追加して、最高に使い勝手の良い手帳を目指しましょう。専門的なことや、不明点などはすべて私たちがサポートします。詳細が決まっていなくてもぜひ一度ご相談いただければと思います。