※こちらの記事は、オーダーメイド手帳の作成をご検討中の方必見【手帳作成基礎講座】<仕様編①>の続きの記事です。こちらも併せてご覧いただくことをお勧めいたします。
オーダーメイド手帳ではどんなことができるのか、どういった制限があるのかについて解説する、「手帳作成基礎講座<仕様編>」の第2回です。前回は「サイズ」「用紙」「構成」「製本方法」「貼り付け」についてご説明しました。今回は仕様について残りの項目を解説します。
印刷色は用途に合わせて最低限に
手帳に限らず、ほとんどの印刷物は1~4色で印刷されます。4色の場合は色の3原色を混ぜ合わせてすべての色を表現できるので、フルカラーとも呼ばれます。3原色のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)をすべて同濃度で混ぜ合わせると黒になりますが、実際のインクを混ぜて黒をつくってもきれいに表現するのが難しいため、黒(K)は専用のインクを使います。このCMYKの4色でフルカラーです。
1~3色の場合は特色と呼ばれます。特色とは、CMYKの掛け合わせではないインクのことです。CMYK以外の色はすべて特色になります。例えば、カレンダーは月曜日から土曜日を黒、日曜日と祝日のみを赤の特色で印刷することで、2色で表現されているものが多数です。土曜日を青の特色で表現すれば、3色となります。
フルカラーでも、特色でも濃度の違いは表現することができます。黒一色でも、濃い黒、グレー、薄いグレーなどを使い分けることで、デザイン性がひろがります。
使用する色数が多くなると、必要なインクや版が増えるため割高になりがちです。会社のロゴや写真の掲載などが必要でフルカラーにしたいページがある場合は該当するページのみをフルカラーとし、他のページの色数を減らすことで、コストとのバランスを調整することができます。色数を調整する場合にも、前項(詳しくはコチラから)の16ページ単位が基準ですので、1ページのみフルカラーにしたい場合でも、16ページ分はフルカラー印刷することになります。ページ構成をうまく調整することでコストを下げましょう。しかし、実際に色数を考慮するとなると慣れが必要です。大まかに必要なページなどを説明したうえで手帳製作会社に相談しアドバイスをもらうのが良いでしょう。
目につく場所に重要な情報を載せる見返し印刷
手帳には見返しと呼ばれる部分があります。手帳の表紙の裏側のことで、手帳の本紙と表紙を貼り付けている場所です。多くの場合、本紙とは違う厚手の紙や色のついた紙を使っています。見返しは手帳を開いたとき最初に目にする箇所となるため、ここに重要な情報を入れると自然とその情報を見る回数が増えます。例えば、企業手帳であれば、見返しに社是や社訓を入れる例が多くあります。オーダーメイドであれば、見返しに使う紙も自由に決めることができるので、特別管や高級感を演出するうえでも重要な箇所といえます。
表紙はカバー付きがメジャー。個性的なデザインもあり
手帳の表紙にもいろいろなタイプがあります。多いのは塩ビや革製のカバーを付けたタイプです。他にも透明カバータイプやハードカバータイプ、ゴム紐止めタイプなどがあります。それぞれの特徴をご紹介いたします。
<カバー付き>
手帳の表紙として最も多いタイプで、塩ビや革でカバーをつける方法です。塩ビや革は見た目にも重厚感が増すだけでなく、手帳全体の耐久度を高める効果があります。カバーには、差し込み型と貼り付け型の2種類があり、差し込み型は着脱が可能、貼り付け型はより強度が高いという特徴があります。差し込み型の場合、手帳を広げた際に状態に合わせてカバーが自然とずれるため、書きやすいという特徴もあり、厚手の手帳の場合はほとんどが差し込み型になります。 カバーのデザインは塩ビや革の生地に大きく依存するため、好みの生地素材を選ぶことになります。オリジナルのロゴや文字などを入れたい場合には、箔押しや型押しといった名入れ方法しかとることができません。しかし、全体的に高級感を演出しやすく、最もオススメの表紙と言えます。
<透明カバー>
塩ビや革製のカバーではなく、透明ビニールを使った透明カバーも可能です。この場合、本体が透けて見えてしまうため、本体とカバーの間に1枚紙を挟み込むことになります(差し込み用紙と呼ばれます)。この差し込み用紙に自由に印刷ができるため、デザインの幅が広いことが特徴です。塩ビや革製のカバーではできないフルカラーでの印刷ができ、デザインによっては、塩ビなどよりもフランクな印象になります。透明カバーの場合は差し込み型のみ可能で、貼り付け型はできません。
<ハードカバー>
カバーを使わない方法で、表紙を固い紙で製本し、紙や布でくるむ方法で、市販の本に近い見た目となります。表紙が固くなることで、丈夫に仕上がることが特徴です。重厚感を演出するのに効果的で、使用する紙や布などの素材によって、箔押しから印刷まで様々な方法で名入れができます。
<ゴム紐止めタイプ>
ハードカバーをよりおしゃれに仕上げることができるのが、ゴム止めタイプです。ベースはハードカバーですが、手帳の開口にゴム帯をつけることでハードカバー独特の硬さがなくなり、優しい雰囲気になります。カバーの色に対して差し色的にゴム紐を使えるので、デザインのワンポイントになります。閉じている状態では、ゴム紐によって無駄な開閉が抑制されていて、持ち運びの際に安心です。
一般的にはカバーをつけることが多いですが、用途やデザインに合わせて様々なタイプから決めていただけるのがオーダーメイドの良さです。表紙は手帳のイメージを大きく左右する「顔」の部分ですので、こだわりたいポイントの一つです。
しおり紐があるとスケジュール管理がしやすい
スケジュール帳が含まれているオーダーメイド手帳や、メモが多い手帳の場合にはしおり紐をつけることをお勧めします。しおり紐はスピンとも呼ばれます。オーダーメイドであれば、しおり紐の数を自由にカスタマイズできるので、用途に合わせて本数を変更すると使い勝手の良い手帳となるでしょう。例えば、月間カレンダーと週間カレンダーのそれぞれにしおり紐を使いたい場合には2本、さらにメモページにもしおり紐を使いたい場合には3本、といった具合です。紐の色も多彩にあるので、カバーの色や印刷色に合わせてこだわるのもいいかもしれません。
用途に合わせて別冊をつける
オーダーメイド手帳であれば、手帳本体だけでなく、様々な付属品をオリジナル製作することも可能です。特に需要の多い付属品は別冊です。別冊は、カバー付きの手帳であれば、カバーに本体と一緒に差し込めるため、手帳本体と持ち運ぶ際も紛失しづらくなります。
別冊を利用するメリットは、要不要に合わせて着脱ができる点です。本体をスケジュール帳として特化させたオーダーメイド手帳を作成した場合、他のメモページが少なくなってしまうことがあります。1年間使えるだけのメモページを本体に入れると厚くなりすぎてしまい、手帳としての利便性を損ねてしまう原因となります。そこで、ページ数の少ない別冊のメモを用意すると、メモを使い終えるたび新しいものと差し替えることで常に十分な量のメモページをスケジュール帳に追加することができます。
また、ある会社では、別冊で毎月提出が必要な記録表をつけました。手帳本体にはプライベートな情報を書き込む可能性もあるため、提出するものとしては向いていませんでしたが、別冊にすることで必要な情報のみを提出できるようになりました。また、別冊の記録表を提出している間にもスケジュール帳は手元に残り、社員にとって使いやすい仕様となりました。
用途に合わせて別冊をつけることで、オーダーメイド手帳の利便性がぐっと上がることもあります。ぜひご検討ください。
手帳をより良くするための様々なオプション
オーダーメイド手帳を作っていると、手帳のそのものだけでなく、付属品にもこだわりたくなるのではないでしょうか。オーダーメイド手帳でよく追加されるオプションについてまとめました。
<ペンホルダー付きカバー>
手帳のカバーにペンホルダーをつけることで、手帳とペンを一緒に管理できるようにするツールです。手帳はすぐにメモができる利点がありますが、同時に筆記具を持ち運ばなければいけないという注意点もあります。ペンホルダーがあれば、手帳とペンは常にセットになり、とっさの場面でもすぐにメモができます。
<ポケット付きカバー>
手帳を使っていると、他の書類を挟んでおきたいと思うことや、メモを一緒に持ち運びたいと思うことは多いのではないでしょうか。そういった場合に便利なのが、ポケット付きカバーです。通常、差し込み型のカバーを使っていれば、手帳との差込口にポケットがついていますのでこれを利用することができますが、同様のポケットを追加することで、数種類の書類を分けて管理することができ便利です。
<Show Window付きカバー>
Show Windowはカバーの外面や内面の差し込み部分につけることのできる名刺サイズのポケットです。外側にShow Windowをつけ、ポケットサイズのカレンダーを差し込めば、手帳を開かなくても年間カレンダーを確認することができますし、社員証を差し込むことで、手帳と社員証を一体にして管理することができます。
(Show Windowは勝手帳独自のオプションです。)
まとめ
ここまでに挙げたように、手帳をオーダーメイドで作成する際には、決めなければいけないことが数多くあります。そのため初めてオーダーメイド手帳を作成しようと考えたときには何から手を付けたらよいのか迷ってしまいます。無限の可能性の中から最適な仕様を探すのは至難の業ですから当然のことだと思います。そういったときはまず手帳製作会社に要望を伝えてみてください。今回の記事で扱ったような一つひとつの仕様を自ら決めなくても、製作会社が良い仕様を提案することができます。一番大切なことは、どういった目的でどんな手帳が作りたいのかイメージしていただくことです。曖昧なイメージで構いません。オーダーメイド手帳製作の第一歩はそこにあります。ぜひイメージをお伝えください。そこから一緒にオリジナルの手帳を作り上げましょう。