オーダーメイドで手帳を作ろうと思ったとき、何となくイメージがあっても、それに合致する製作会社が見つからなかったり、どんなことができるのかわからずに迷ってしまったりすることがあるのではないでしょうか。勝手帳はすべての仕様をフルオーダー(フルコース)できるので、あなたにとって理想のオーダーメイド手帳を製作することができます。とはいえ、手帳の性質上どうしても制限がかかってしまう部分もありますし、そもそもどんなことができるのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。そこでここでは、手帳の基本的な構造を詳しく解説し、オーダーメイド手帳では何ができるのかイメージを膨らませてもらえればと思います。

 今回は<仕様編①>です。仕様については、項目が多いので全2回に分けてご説明します。

※第二回の記事はコチラから読むことができます。

手帳の特性を左右する「サイズ」

手帳にとって、サイズは重要な要素です。コンパクトにすることで持ち運びしやすくしたり、大きくしてメモを取りやすくしたりと、手帳の用途に大きな影響を与えますし、見た目やデザイン性にも大きくかかわってきます。オーダーメイドであれば、どんなサイズでも作成できますが、大まかには「A・B規格サイズ」「ビジネスサイズ」「聖書サイズ」「その他」に分類されます。それぞれ特徴を解説します。

<A・B規格サイズ>

A・B規格サイズと聞いても耳なじみがないかもしれませんが、A4やB5といった紙のサイズの規格のことです。手帳としては、特に「A5」「B5」「B6」あたりが人気のサイズです。A・B規格サイズのメリットは、他の書類や書籍とサイズ感があっていて、整理がしやすい点です。一般的に最も流通しているノートがB5サイズであるため、B5、B6サイズはノートとの併用に向いていますし、日本ではほとんどの書類がA4サイズのため、その半分のサイズのA5サイズも人気です。他の手帳と比べてサイズが大きめになることが多く、持ち運びには少しかさばりますが、書類との相性がいいため、カバンなどに入れても邪魔になりにくいサイズでもあります。大容量で記載スペースが多いことがメモを取りやすくしていて、ウェブ会議中のメモにもぴったりです。

<ビジネスサイズ>

ビジネスサイズは細長で薄く、持ち運びに便利なサイズです。上着の内ポケットに収納できるものがほとんどで、横幅は8cm~10cm程度、長さは14cm~18cm程度です。縦長という特性上、たくさんのメモページを持たせるというよりは、シンプルなスケジュール帳となることが多いです。コンパクトさがウリで、取引先との打ち合わせ時などに、立ち話で決まった予定でもその場ですぐに取り出し、記入できるため、ビジネスマンに愛されています。

<バイブルサイズ>

バイブルサイズは縦17㎝、横9.5cmで、聖書と同じサイズです。ビジネスサイズに近く、持ち運びと書きやすさを兼ね備えているのが特徴です。一般的に流通しているシステム手帳で多く採用されています。

<オリジナルサイズ>

オーダーメイドであれば、完全にオリジナルのサイズも可能です。例えば普段持ち運ぶノートパソコンやタブレットに合わせたサイズにすることもできますし、正方形にすることもできます。常に携帯することを推奨している手帳では、制服の胸ポケットのサイズに合わせてつくることもあります。

手帳サイズ比較図
手帳サイズの比較イメージ

特徴さまざまな印刷用紙

オーダーメイドであれば、手帳の本紙も自由にオーダーすることができます。使用する紙によっても特徴があり、サイズや用途によって、向き不向きがあります。一般的には、「手帳用紙」「上質紙」「書籍用紙」を使い分けます。この3種類について簡単にご紹介します。

<手帳用紙>

手帳用紙は手帳に特化した紙です。手帳は昔からコンパクトさを求められているため、薄くて丈夫な紙が利用されています。薄くするとその分裏抜け(印刷やペンでの記載が裏から見えてしまう現象)がしやすくなりますが、手帳用紙は裏抜けも抑えられています(完全に見えないわけではありませんのでご注意ください)。薄く作られたことで、それなりのページ数の手帳でも厚手になることを抑制し、持ち運びしやすい手帳に仕上げられます。ただし、薄い分大きめのサイズの手帳には、まとまりが悪くなることがあるため不向きといえます。ビジネスサイズの手帳に最もよく利用されています。

<上質紙>

上質紙は一般的なノートやコピー用紙に近い、ごく普通の紙です。手帳用紙に比べると厚手で、どんなペンでも書きやすいという特徴があります。表面に加工がされていないので、少し滲みやすい特徴もあります。紙自体にある程度のコシがあるため、比較的大きなサイズでも対応できます。一般的な紙であるため比較的安価であるというメリットがありますが、高級感はあまりありません。A5サイズなど大きなサイズの手帳から、小さなサイズのものまで、多様な手帳で利用されています。

<書籍用紙>

書籍用紙は上質紙に近い特徴を持ちながら、高級感をもった印刷用紙です。上質紙同様、手帳用紙に比べて厚手で、比較的大きなサイズサイズから小さなサイズまで、様々さサイズで利用することができます。わずかにクリーム色をしており、目に優しく、文字の視認性を高めています。その名の通り、書籍物に多く利用されている紙で、重厚感があるのも特徴の一つです。比較的大きなサイズの手帳で、高級感を持たせたい場合に利用されることが多い印刷用紙です。

手帳は16ページ構造が基本

手帳をオーダーメイドで作成する場合、その内容によってページ数は様々です。勝手帳でも、300ページを超えるものや、わずか10ページ程度の手帳を作成した実績があります。オーダーメイド手帳にスケジュール帳としての機能を持たせる場合は月間カレンダーや週間カレンダーが必要ですし、会員手帳であれば会員規約などを掲載する必要があります。

オーダーメイド手帳ではこうした内容量に合わせてページ数を調整することができ、必要なページを必要な分だけ作りこむことが可能になります。しかし、何ページでも自由にカスタマイズできるわけではありません。ページの調整は基本的に16ページ単位でお願いしています。

 手帳は1枚の紙に何ページも同時に印刷をし、印刷した紙を折って切って製本しています。この折り方にはいくつか方法がありますが、最もポピュラーなのは16ページごとで折る方法です。そのため、ページ数を決めるときには16の倍数となります。1年分のスケジュール帳がつく手帳では、160ページから208ページ程度での製作が一般的です。ちなみに、勝手帳のイージーコース(既製品)はカレンダーなどを含めて、176ページ(16×11)で構成されています。一方、企業理念やクレドのページを追加したい場合などは、これに16ページや32ページが追加されるので176ページから224ページあたりに落ち着きます。週間ページ不要で、月間ページとメモ欄だけのシンプルな仕様の場合には96ページや112ページのものが多いですし、規則手帳などは、ページ数が少なく、32ページの手帳となることも少なくありません。16ページ単位だと余ってしまう場合もありますが、そのときにはメモページとすることをお勧めしています。

 ページを余らせたくない場合や、メモページが不要な場合には4ページ単位や8ページ単位での製作も可能ですが、その際も4の倍数を崩すことはできません。

製本方法は糸かがりがおすすめ

手帳の製本方法はいくつかあります。一般的なのは、糸かがり製本、無線綴じ、中ミシン製本です。それぞれに特徴がありますが、勝手帳では糸かがり製本をおすすめしています。それぞれの特徴を見てみましょう。

<糸かがり製本>

糸かがり製本は16ページごとの紙の束の背を糸で綴じ合わせていく製本方法です。大きな特徴は手帳を180度開閉することができることで、机の上はもちろん、手に持ちながらでも書きやすい仕上がりにすることができます。スケジュールへの記載やメモ欄がある場合には大きなメリットです。糸で全ての紙を括っているため、1年間の利用に十分耐えられる強度も備えています。しかし、手間や時間がかかるため、他の製本方法に比べるとコストがかかります。

<無線綴じ>

無線綴じはすべてのページの背を合わせ、特殊な糊で固める製本方法です。糸かがり製本に比べると容易な製本方法で、コストが安く、手帳以外でも様々な冊子や本に利用されています。しかし、180度開くことができず、机に置いて広げても中央が山のように浮いてしまうので文字が書きにくく、記入には不向きです。また、強度も糸かがり製本に比べると劣ります。読むことに特化した冊子や手帳に適しています。

<中ミシン製本>

中ミシン製本は重ねた紙の中心をミシンで縫い付ける製本方法です。糸を使っているため強度は高く、糸かがりよりも安価でできる製本方法ですが、ページ数が多いものには対応できません。また、閉じた状態では背中が丸くなり、見栄えが劣ります。ページ数の少ない手帳や小冊子に向いている製本方法です。


このような特徴のため、手帳には糸かがり製本が最も適していると言えます。実際、勝手帳で作成した手帳のほとんどが糸かがり製本によるものです。ただし、オーダーメイド手帳ではページ数やサイズも自由に変更でき、無線綴じや中ミシン製本の良さがいかせる場合もありますので、仕様と予算にあった製本方法をご提案いたします。

最初と最後のページは貼り付けが必要

糸かがり製本や無線綴じの場合、最初のページと最後のページの2か所は見返し部分と貼り付ける必要があります。見返しとは、手帳の表紙と本体を接合するための部分です。厚手の紙を使うことで強度をだしています。最初のページと最後のページを見返しと貼り付けることで表紙をつけることができるため、この2ページは他のページにはない注意点があります。

 見返しとの貼り付け方法は、全面貼り付けと部分貼り付けの2種類がありますが、強度を優先する場合には全面貼り付けがオススメです。この方法をとる場合、最初と最後のページはデザインを施すことができなくなります。部分貼り付けの場合、のどの部分2~3mm程度を貼り付けるため、ページとしての機能を残すことができますが、完全には開くことができず、のどに近い部分にはデザインすることができません。また、180度開かないため、記載には向かないページと言えます。

オーダーメイド手帳の作成をご検討中の方必見【手帳作成基礎講座】<仕様編②>へ続く